仮想位相共役による3D断層撮影技術

情報フォトニクスの中核技術である光複素振幅制御技術の応用分野としては、3D表示・計測ならびに光通信分野の他に、光技術の大きな潮流の一つであるバイオフォトニクスの分野があります。その中で、私が特に注目しているのは、OCT(Optical Coherence Tomography)などにみられる光断層計測の研究になります。従来のOCTは、光のコヒーレンス干渉を用いて、物体の深さ方向を計測する技術で、医療用診断機器等ですでに実用化されています。これに対して、私は、これまでに研究を進めてきた複素振幅制御技術と仮想位相共役技術を組み合わせることによって、完全にシングルショットでの断層計測を実現する研究を行っています。ここで、仮想位相共役とは、コンピュータ内に仮想的に設置した光学系を用いて位相共役波に基づいた情報処理を行う技術であり、断層計測だけではなく、超解像計測やノイズの除去など様々な応用が期待されています。