目に見えない光の位相を可視化する代表的な手法として、位相シフトデジタルホログラフィ(PSDH: Phase-Shifting Digital Holography)という手法があります。従来のPDSHでは、位相差を与えた参照光と信号光との干渉によって強度分布に生じる模様(干渉縞)を参照光に与える位相差を変化させながら3~4回取得し、計算機による演算処理を行うことで位相を算出します。これに対して、私は、2台の撮像素子の利用により位相の異なる干渉縞を同時取得し、高空間分解能と高速計測の両立を実現するHDI(Holographic-Diversity Interferometry)という手法を提案・開発してきました。現在、HDIは日本を含め世界5カ国で特許を取得しています。PSDHに代表される計測対象の位相を定量的に計測する技術は、近年バイオフォトニクスの分野において盛んに研究されています。私は、HDIを用いた生体計測分野への適用が可能な新規の断層計測技術を開発する一方で、アイシン精機(株)との共同研究を進める中で、製品検査分野への位相計測の応用についても研究を進めています。